梅雨時や夏の夕暮れ、網戸にびっしりと、無数の羽のついたアリのような虫が群がっていた。あるいは、室内の照明に、何百という羽アリが引き寄せられてきて、パニックになった。そんな経験はありませんか。羽アリの大量発生は、非常に不快で、恐ろしい光景ですが、その正体によっては、単なる不快さを通り越し、家屋に深刻なダメージを与える、重大な警告である可能性があります。なぜなら、その羽アリの正体が、「白蟻(シロアリ)」である場合があるからです。私たちが普段目にする黒いアリ(クロアリ)も、繁殖期になると、巣の一部が羽を生やして飛び立ち、新しい巣を作るための「結婚飛行」を行います。これは、数匹から数十匹程度の規模で、短時間で終わることがほとんどです。しかし、もし、その数が何百、何千という規模で、しかも家の中(例えば、浴室や玄関など)から発生しているようであれば、それは白蟻の可能性を強く疑うべきです。クロアリと白蟻の羽アリは、よく見ると、いくつかの明確な違いがあります。クロアリの羽は、前後の羽の大きさが異なり(前羽が大きい)、胴体にくびれがあります。一方、白蟻の羽は、前後の羽がほぼ同じ大きさで、胴体はずんどうで、くびれがありません。また、白蟻の羽は非常に取れやすく、発生場所の周りには、大量の羽だけが落ちていることが多いです。もし、あなたの家で発生した羽アリが、この白蟻の特徴に当てはまる場合、それは、あなたの家の床下や壁の中が、すでに白蟻によって食い荒らされ、巣が成熟しきっている、という、極めて危険なサインです。もはや、アリ駆除スプレーで対処できるレベルの問題ではありません。すぐに、専門の白蟻駆除業者に連絡し、徹底的な調査と駆除を依頼する必要があります。羽アリの大量発生は、家の健康状態を示す、重要なバロメーターなのです。