家に蟻が大量発生した場合、すぐにでも駆除したいと思うのは当然です。しかし、小さなお子さんや、犬や猫といったペットがいるご家庭では、強力な殺虫剤やベイト剤の使用には、大きな不安が伴います。子供やペットが、誤って薬剤に触れたり、舐めてしまったりする事故を、絶対に避けなければなりません。では、どのようにすれば、安全と駆除を両立できるのでしょうか。まず、化学的な殺虫剤を使わずに、アリを遠ざける「自然由来の忌避剤」を活用する方法があります。アリは、いくつかの特定の匂いを嫌う性質があると言われています。例えば、お酢や、レモンの絞り汁を水で薄めたものをスプレーボトルに入れ、アリの通り道や、侵入してきそうな場所に吹き付けておくと、その酸っぱい匂いを嫌って、寄り付かなくなる効果が期待できます。また、ハッカ油や、シナモン、クローブといった、香りの強いスパイスも、アリに対する忌避効果があるとされています。これらのアロマオイルを染み込ませたコットンを置いたり、スパイスの粉を通り道に撒いたりするのも良いでしょう。ただし、これらの天然の忌避剤の効果は、あくまでも「寄せ付けにくくする」ことであり、巣を全滅させるほどの力はありません。また、効果の持続時間も短いため、こまめな散布や交換が必要です。もし、ベイト剤(毒餌)を使用する場合は、その設置場所に、最大限の注意を払う必要があります。子供やペットの手が、絶対に届かない場所を選ぶことが鉄則です。例えば、冷蔵庫や食器棚の下の奥深く、あるいは、家具の裏側の隙間などです。最近では、容器が工夫されており、中の薬剤に直接触れることができない、安全性の高いベイト剤も市販されています。パッケージの注意書きをよく読み、安全面に配慮された製品を選ぶようにしましょう。そして、何よりも安全で効果的な対策は、やはり、アリの餌となる食べかすなどをなくすための、日々の徹底した清掃です。