バルサンを予定より長く放置しすぎてしまい、部屋のあちこちがベタついたり、薬品の匂いが取れなくなったりした場合、単なる換気だけでは不十分です。住まいの安全と快適さを取り戻すためには、論理的な手順に基づいた「除染」に近い清掃が必要となります。まず最初に行うべきは、空気の完全な入れ替えです。部屋に入る際は必ず高性能なマスクを着用し、窓やドアを対角線上に開け、サーキュレーターを窓の外に向けて強制排気を行ってください。最低でも二時間は、この状態で空気の淀みを解消します。次に、床や家具の表面に沈着した薬剤の膜を取り除きます。放置しすぎた際に生じるベタつきの正体は、薬剤の溶剤成分が埃や湿気と混ざり合ったものです。これには、アルカリ性の電解水や、薄めた住宅用の中性洗剤が効果的です。マイクロファイバークロスに洗浄液を含ませ、家具の天板、棚の縁、ドアノブなど、日常的に手が触れる場所を「上から下へ」の順で拭き上げます。一方向に拭くことで、薬剤を広げずに効率よく絡め取ることができます。床については、クイックルワイパーのようなシートタイプではなく、雑巾での水拭きを推奨します。放置しすぎた場合、シートの摩擦だけでは固着した成分を浮かせることが難しいからです。布製品、特にカーテンやソファカバーについては、もし匂いが取れないようであれば、思い切って洗濯するか、スチームクリーナーを使用して繊維の奥の成分を浮かせて吸い取る作業が必要です。さらに、意外な盲点が換気扇のフィルターやエアコンの表面です。これらの空気の吸入口には薬剤の粒子が集中して付着しているため、ここを清掃しないと、エアコンをつけるたびに匂いが再燃することになります。最後に、清掃に使用した雑巾やクロスは、薬剤を大量に吸い込んでいるため、再利用せずに廃棄するのが賢明です。放置しすぎによる被害をリセットするには、これだけの労力がかかりますが、一つひとつの工程を丁寧に行うことで、家財の劣化を防ぎ、再び安心して深呼吸できるリビングを取り戻すことができます。清掃が終わった後は、しばらくの間、除湿機を活用して室内を乾燥させることで、残った匂いの成分が揮発するのを助けることができます。