私はかつて、築三十年の古いアパートで毎晩のようにゴキブリと遭遇し、ノイローゼ寸前まで追い詰められた経験があります。その時の絶望から脱却するために、あらゆる専門書を読み漁り、実践と失敗を繰り返してたどり着いたのが、今の「水際対策」の徹底です。新居に引っ越してからの五年間、私の家でゴキブリを目撃したことは一度もありません。ゴキブリはどこから来るのかという問いに対し、私が導き出した結論はシンプルです。それは「家を一つの潜水艦のように密閉すること」です。まず私が取り組んだのは、全ての窓サッシへの隙間テープの貼付です。網戸を閉めていても、左右のサッシが重なる部分には必ず数ミリの隙間があります。ここにモヘア状のシールを貼るだけで、外部からの飛来を完全にシャットアウトできます。次に、キッチンのシンク下。配管と床の間にあった僅かな隙間を、防虫成分が含まれた専用パテで、これでもかというほど厚く塗り固めました。ここは彼らにとっての「裏口」であり、ここを塞ぐことが成功の八割を決めると確信しています。さらに、エアコンのドレンホース。地面に垂れ流しになっていたホースの先端に、百円ショップでも買える防虫キャップを装着しました。これを忘れると、彼らはホース内部の水分を頼りに逆流して侵入してきます。また、毎日の生活習慣として徹底しているのが、玄関ドアの開閉時間です。特に夜間、玄関の明かりをつけているときは、一秒たりとも無駄にドアを開け放しません。光に寄せられた虫が、開いた瞬間にスッと入り込むのを防ぐためです。そして、何よりも効果を実感しているのが「屋外用ベイト剤(毒餌)」の設置です。家の周囲、特にエアコンの室外機付近やゴミ箱の周りに、定期的に毒餌を配置しています。家の中に招き入れる前に、外の時点で決着をつける。これが私の戦略の肝です。ゴキブリがどこから来るのかと怯える日々を終わらせるには、運に頼るのではなく、物理的な遮断という冷徹なロジックが必要です。家の中に一歩も入れないという強い意志を持って、住まいの境界線を管理し続けること。それが、心からリラックスできる清潔な我が家を取り戻すための、最も確実で報われる努力なのです。隙間を一つ塞ぐたびに、私の安心感は一段ずつ積み上がっていきました。皆さんも、まずは一本のパテと隙間テープを手にして、自分の城の防衛力を高めることから始めてみてください。