日本において「毒蜘蛛」と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「セアカゴケグモ」ではないでしょうか。もともと日本には生息していなかったこの蜘蛛は、特定外来生物に指定されており、その危険性から正しい知識を持つことが求められます。ここでは、セアカゴケグモの詳しい見分け方と、その生態について徹底的に解説します。セアカゴケグモの最も顕著な特徴は、メスの腹部にある鮮烈な赤い模様です。光沢のある黒い球体のような腹部に、くっきりと描かれた赤い縦縞は、まさに自然界の警告色と言えるでしょう。この模様は非常に特徴的なため、一度覚えてしまえば他の蜘蛛と見間違えることはほとんどありません。体長はメスで約一センチ、脚を広げると二センチ程度になります。一方でオスは非常に小さく、体長も五ミリ以下とメスの半分以下で、体色も褐色で地味なため、あまり目立ちません。人間に害を及ぼすほどの強い毒を持つのは、主にメスだけです。彼らが好むのは、日当たりが良く、暖かく、そして餌となる昆虫が豊富な場所です。特に、コンクリートや金属でできた人工的な構造物の隙間を好む傾向があります。具体的には、道路の側溝の蓋やグレーチングの裏、植木鉢やプランターの底、室外機や自動販売機の裏側、公園のベンチや遊具の下など、私たちの生活空間のすぐそばに潜んでいる可能性があります。巣は、一般的な蜘蛛が作るような綺麗な円形の網ではなく、綿ぼこりが絡まったような、不規則で立体的な「不規則網」を張ります。一見すると、ただの蜘蛛の巣にしか見えませんが、粘着力が非常に強く、巣の下の方には枯れ葉や小さなゴミがぶら下がっていることが多いのも特徴です。セアカゴケグモは基本的におとなしい性格で、自ら積極的に人を襲うことはありません。被害のほとんどは、彼らが潜んでいるとは知らずに、巣ごと手で触ってしまったり、体を圧迫してしまったりした場合に発生します。屋外で作業をする際は、これらの生息場所を念頭に置き、軍手を着用するなどの注意が不可欠です。
特定外来生物セアカゴケグモ徹底解説